結論:評価3.5、熱いバトルと群像劇を兼ね備えた歴史漫画

筆者は現在も『キングダム』を読み進めており、評価としては3.5をつけている。原泰久による「成りあがり歴史漫画」というのが筆者なりの一言評価で、中心となる筋以外は史実そのままではないという前提を踏まえたうえでも、十分に読み応えのある作品だと感じている。2006年の連載開始から現在まで続いているという事実だけでも、この作品が持つ熱量の高さがうかがえる。

「キングダム」はどんな作品か

『キングダム』は原泰久が手がけ、集英社の週刊ヤングジャンプで2006年から連載が続く青年向け漫画だ。付けられているタグはバトル、群像劇、熱い、歴史の4つで、いずれもこの作品の性格をよく表している。中国の戦国時代という史実の枠組みを土台にしながら、成りあがっていく主軸の展開自体は史実に沿っているものの、それ以外の細部は史実そのままではないという点も、この作品を語るうえで押さえておきたいポイントだ。2006年という連載開始年からもわかる通り、長期にわたって読み継がれてきた歴史漫画のひとつと言える。

良かった点

筆者がまず挙げたいのは、歴史ものでありながらバトル・熱いというタグが示す通り、読んでいて熱量を感じる場面が多いという点だ。歴史を題材にした作品というと淡々とした展開を想像しがちだが、この作品はそのイメージを裏切ってくる。またもうひとつのタグである群像劇という言葉が示す通り、一人の主人公だけに焦点を当てるのではなく、多くの人物が絡み合いながら物語が進んでいく構成にも厚みがある。評価3.5という数字は突出して高いわけではないものの、安定して読み応えのある作品だと筆者は感じている。青年向けの漫画として、週刊ヤングジャンプで長く連載が続いていること自体が、その完成度の高さを裏付けているとも言えるだろう。

気になる点

一方で気になる点として挙げておきたいのは、成りあがり歴史漫画という一言評価にもある通り、中心となる筋以外は史実そのままではないという前提だ。史実に忠実な再現を期待して手に取ると、その点でイメージとのズレを感じる読者もいるかもしれない。ただし筆者自身は現在もこの作品を読み進めている段階であり、読むのをやめる理由には至っていない。評価が満点ではなく3.5にとどまっているのも、この史実との距離感が筆者の中でわずかに評価を割り引く要因になっているためだと考えられる。

こんな人におすすめ

歴史・バトル・群像劇・熱いといったタグに惹かれる人には特におすすめできる作品だ。中国の戦国時代という舞台設定そのものに興味がある人はもちろん、史実そのままの再現よりも熱い展開やキャラクター同士の群像劇を楽しみたいという人にも向いている。逆に、史実に忠実な歴史漫画を求めている人にとっては、中心の筋以外がフィクションであるという点が引っかかる可能性もあるため、その前提を理解したうえで手に取ることをおすすめしたい。

合わせて読みたい

『キングダム』のような歴史群像戦記が好きな人に向けて、あわせて読みたい3作品を紹介する。

1. ヴィンランド・サガ

ヴィンランド・サガ

幸村誠 ・ 連載中

5.0

「アメリゴベスプッチの前にアメリカ大陸に行ったノルウェーの人たちの話。ワールドカップのノルウェー戦の観客を見て、なんとなくわかった」

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歴史を舞台にした群像戦記ものという理由で並べたい一作。筆者の評価は5ととても高く、「アメリゴベスプッチの前にアメリカ大陸に行ったノルウェーの人たちの話。ワールドカップのノルウェー戦の観客を見て、なんとなくわかった」という一言評価が残されている。

2. アルスラーン戦記

大陸を舞台にした歴史群像戦記ものとして共通点がある作品。原作は田中芳樹、作画は荒川弘が手がけており、筆者の評価は4。「読み応え抜群の荒川漫画。田中作品にあっている」という感想が残されている。

3. アド・アストラ ―スキピオとハンニバル―

古代の戦争と英雄を描く歴史群像劇という理由で紹介する一作。カガノミハチによる全14巻の完結済み作品で、古代史を舞台にした戦記ものを読みたい人にとって候補のひとつになるはずだ。